リーダーになりたいという人は、リーダーシップを学ぶ機会を出来る限り捉える必要があります。ともすれば自分の思いばかりが強くて空回りしがちなものですが、リーダーは一人でなれるものではありません。いくら歴史を勉強しても、本を読んでも、自分をリーダーとして育てるためには、実際に経験することが不可欠です。理屈ではない人の動かし方や、判断力の磨き方というものがあるのです。学習効果を上げるためには、相手からの素早いフィードバックを受けられる立場に立つのが一番効率が良いでしょう。そのため会社内で何らかのプロジェクトを立ち上げたり、社外でコンテストのためにチームを結成するなど、機会を捉えてリーダーになる経験を積むことが大切です。
その経験を積む上で、予測のつかない困難に出会うことは珍しくないでしょう。そのような場合には、書籍を読み漁ったり、リーダーとして成功している人がどのような習慣を身に付けていて、どのようなことに気を使っているのか、といった点を研究して真似したり、あるいは「あの人だったらどうするのか」と想像するといった形で、知識を活かす訓練をするのです。
もちろんすべて初めからうまく行くなどといった、甘い予測は捨てることです。まるで、誰もがその人の言葉になら付いて行くかのように見えるサクセスストーリーの中の強烈なリーダーですら、実際には様々な苦難や挫折を味わっているのであり、そのような経験なくしてリーダーとしての成長はないのです。しかし成功する人には、失敗というものの捉え方が普通の人とは異なります。成功する人は、失敗を人生の一大事と考えるのではなく、単なる通過点と見なします。誰しも胸の内には思い出したくないような失敗の一つや二つはあるものですが、成功する人はそれを敢えて自分の目から逸らそうとはしません。もちろん失敗をしても常に冷静でいられるほど人間が出来ているとは限りませんが、少なくともその失敗を感情を交えずに客観的に分析することができるようになった後は、これを学習する機会と考えて先へと進み、いつまでもそこに留まろうとはしないのです。
人は失敗するものですが、きちんと反省したり分析したりしておかないと、何度でも同じ失敗を繰り返すのであり、成功する人は同じ失敗を二度と繰り返さないのです。リーダーに求められるのは、平穏無事で誰でも判断に迷う必要のないという場面ではなく、変革の時代に将来を見通すことが困難な時期に人を導くことです。このような未知の事態に対処するためには、似たような経験から演繹したり、他人の経験談を知識として活用する訓練が欠かせません。