リーダーの育成は、必要な能力を身につけるために学習し、さらにそのスキルを実践で活かせるようになるまでに時間を要するといわれます。リーダー職は企業の今後の経営に大きく関わる存在でもあるため、座学だけでは十分なスキルを習得するのが困難です。リーダー育成に必要な期間を十分に把握できていて、それに見合ったリソースを確保できているかどうかが課題です。
リーダーの育成は、一般的な社員教育と大きく異なります。新入社員の教育と違って、基礎からの教育ではなく、これまでの実践経験を活かしたうえでワンランク上の育成が必要です。リーダー職の場合は1年~3年ほどの育成期間が必要といわれており、企業側としては短くても1年ほどは育成に費やす心構えが求められます。
リーダー職の育成が上手く進まない企業では、単発の研修で終わっているケースも多いそうです。単発の研修は会社のイベントの一環になり、長期的な目で見たリーダーの育成からはかけ離れてしまいます。リーダーを育成するには息の長い研修が必要で、研修プログラムもより有効なものを企画する必要があるでしょう。
昇進の遅さや、日本企業特有の横並び思考なども、リーダーの育成を阻む課題です。リーダー職に必要な研修を受けたとしても、その後の道をのらりくらりと進んでしまうとせっかく習得したスキルが風化します。なぜリーダーが必要なのか、リーダーの育成によって企業をどのように変革させたいのか、目的とゴールを明確にしておかなければ意味をなさないものになります。
育成にかかる研修プログラムは、短期はNGだとしても単に漠然と長期間を費やせばいいというわけではありません。目的とゴールを明確にさせたうえで、それを達成するための具体的な研修プログラムを計画することが大切です。段階や順番なども含めて、できるだけ詳細なプログラムを設定します。
求めるリーダー像は企業側が十分に把握しておき、リーダーを目指す本人を含む育成に関わるメンバー同士で共有。目的とゴールは、リーダーを目指す本人はもちろんのこと、育成に関わるメンバー全員で把握する必要があります。まずは難易度が低めな目標から取り掛かり、徐々に難易度を上げていくのも、達成感を得ながらやる気を引き出すポイントです。
リーダー職候補として抜擢されるのは、相応の経験とポテンシャルを兼ね備えた人材であることがほとんどです。しかし、リーダー職に適しているとして抜擢された人材でも、育成の途中で挫折や失敗などが生じる可能性はゼロではありません。このことを想定したうえで、フォローアップ体制を整えておくことは必須です。どんなに経験を積んだ人材でも、リーダーとしては新人の立ち位置になるのです。「経験を積んだ人だから大丈夫」という先入観は禁物。育成担当者によるフォローアップ体制は万全を期して、無理がないか常に見守る姿勢を欠かさないようにしましょう。
最初に計画していた育成プログラムの進行具合が思わしくないときは、プログラム内容を見直して柔軟な対応をとる必要があります。業界の動きに変動があった際も、軌道修正を厭わない姿勢が大切です。